2016年8月11日木曜日

大阪くらしの今昔館が「イケフェス大阪2015」に初参加しました!

 『生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪2015』(イケフェス大阪2015)のメインイベントが、平成27年10月31日(土曜日)、11月1日(日曜日)の2日間にわたって開催されました。
‘生きた建築’とは、歴史や文化、市民の暮らしぶりといった都市の営みの証として、様々な形で変化・発展しながら、今も生き生きとその魅力を物語る建築のこと。『イケフェス大阪』は、そんな‘生きた建築’を通して、いつもとは一味違う大阪を感じていただくイベントです。大阪の‘生きた建築’が扉を開く、特別な2日間でした。

 大阪くらしの今昔館が「イケフェス大阪2015」に初参加しました。

 大阪くらしの今昔館は2001年4月に開館した住まいの歴史と文化をテーマにした日本初の専門ミュージアムです。その特徴は、開館10年記念誌「大阪くらしの今昔館ものがたり」にコンパクトにまとめられていますので、引用してご紹介します。

 大阪くらしの今昔館(大阪市立住まいのミュージアム)のキャッチコピーは、「ほっとしたいそこの人、しばし時を忘れて、浪花見物に参りませう」である。今昔館のメーン展示は、ビルの九階に実物大で再現された江戸時代の「大坂町三丁目」の町並みである。ここを歩くと、子どものころの記憶がよみがえって、心が和んだという来館者も多い。彼らは江戸時代の大坂を知っているわけではないが、ここには大阪の原風景がもつ空間の力がある。それを体感できる展示にこだわってきたのが、大阪くらしの今昔館の一〇年である。

 今昔館の町並みは、学術的な復元設計をもとに、桂離宮の昭和大修理を担当した数寄屋棟梁が新築した。しかも、博物館によくある書割(かきわり)ではなく、実際の建物と同じ工法で造った。こうして、江戸時代の建築技術による「ほんまもん」の町家ができあがった。
 つぎに、生活感をだすため、一軒一軒の町家に時代色をつけた。これは映画の美術監督の仕事で、エイジングの手法が取り入れられた。柱や格子の風食、白壁のひび割れ、屋根瓦の傷み、軒先のゆがみ、雨落など、年月を経た町家の風格が再現できた。
 さらに、音と光と映像による最先端技術を用いて、一日の移り変わりを演出する大がかりなシステムをつくった。夜が明けると商いの声で町の一日が始まり、昼下がりには金魚売りがやってくる。そのうち辺りが暗くなって雷鳴がとどろき、はげしい雨音が聞こえる(屋内なので雨が降ることはない)。夕立が上ると、町並みは美しい夕焼けに染まる。やがて夜空に月が輝き、星空に流れ星が走り、犬の遠吠えとともに夜は更けてゆく。
 大坂町三丁目は架空の町であるが、ここに居るだけで、江戸時代の大坂の町の空気を肌で感じることができる。そして、人間国宝の桂米朝さんが解説する風呂屋シアターの映画を見ると、町人のくらしの知恵が伝わってくる。

 今昔館の八階には、近代の大阪をめぐる展示「モダン大阪パノラマ遊覧」がある。巨大な「大阪市パノラマ地図」の光床(ひかりゆか・フロアパネル)の周りに、西洋館が建ち並ぶ「川口居留地」、近代化が進む「北船場」、モダンな長屋の「大大阪新開地」など、六景の精密な住宅地の模型があり、マニアの間ではちょっと名が知られている。
 ここにはもうひとつ「住まい劇場 ある家族の住み替え物語」という隠された展示がある。隠された展示というのは、住まい劇場が一時間に二回しか上演されないからである。上演時間になると 「空堀通」、「城北バス住宅」、「古市中団地」の模型が展示ケースの下に沈みこみ、天井から住まい劇場が降りてくる。この上下に動く模型の意外性が受けて固定ファンも多い。しかし、何しろ一時間に二回しかないので、この展示をまったく知らないまま展示場を後にするお客さんが多いのは残念である。
 物語は空堀通から始まる。ここは路地と長屋の町で、織田作之助の小説『わが町』もこの近くが舞台である。昭和五年(一九三〇)、四軒長屋の一つにある理髪店「浪花軒」の出来事。客と主人は、御堂筋の拡幅、地下鉄工事、大阪城天守閣の復興など、世間話で盛り上がっている。この浪花軒の六歳の娘が、主人公の悦子である。
 つぎの場面はバス住宅。空襲で焼け出された人々を救済するため、廃車になった木炭バスを利用した仮設の市営住宅である。昭和二三年、ようやくバス住宅に入居した一家に、悦子さんの恋人が訪ねてきたからさあ大変。大事な客を迎えるために、一家は大騒動!
 最後は、水洗トイレやバルコニーがある、市民あこがれの古市中団地。昭和三四年、抽選に当たってやっとのことで入居できた悦子さん一家に、初めてテレビが来た日のお話。
 悦子さんの声は、大阪出身の八千草薫さんが担当しており、その上品な大阪言葉も隠れた人気になっている。

 以上、大阪くらしの今昔館の特徴をご紹介しました。


 イケフェス2015では、公式ガイドブックをお持ちの皆さまを2日間限定で入館料無料でご招待しました。
イケフェス2015の公式ガイドブックより


 さらに、特別公開として、ビルの9階に実物大で再現された江戸時代の町家の1軒、合薬屋の店の2階に上がっていただきました。普段は公開していない2階で天井裏の梁や束、しっくいの壁などをご覧いただきました。加えて、大工道具の展示もご覧いただきました。

 8階の近代の大阪のフロアでは、「大阪市パノラマ地図」や、六景の精密な住宅地の模型、隠された展示の「住まい劇場-ある家族の住み替え物語」などの展示をガイドツアーでご覧いただきました。

 大阪くらしの今昔館は、イケフェス2016にも参加予定です。

 大阪くらしの今昔館は天神橋筋6丁目にあります。北浜から地下鉄堺筋線で3駅5分。東梅田から地下鉄谷町線で2駅3分。天神橋筋6丁目(天六)駅3番出口から地下でビルに直結していますので、エレベーターで8階までお越しください。皆さまのご来館をお待ちしています。




 

0 件のコメント:

コメントを投稿