2016年8月11日木曜日

今週の今昔館(18) 20160801

〇資料紹介「浪花行事十二月 七夕月 盆をとり」 二代貞信 作、昭和14(1939)年

 当館の所蔵資料「浪花行事十二月」には、江戸時代の浪花の年中行事風俗が旧暦の月ごとに描かれています。今回はその中から、7月の行事「七夕月 盆をとり」をご紹介します。(大阪くらしの今昔館ホームページからの引用です。)


 盆踊りは旧暦七月十五日・十六日(今年の暦では、8月17日・18日)のお盆の時期に寺社の境内に集まり、死者を供養するために踊る行事です。満月の明かりに照らされ、揃いの笠と着物で列をなして踊る女性たちが描かれています。手前には菊花模様の燈籠が風にたなびき、夏の夜の風情を感じさせます。
  『大阪繁華風土記』の七月の項には、盆踊りについて「当月踊十五日より八朔迄所々におどり有、軒へ丸太をわたし芝居又茶屋のてうちんをつり東雲までをどる也」という記述があります。

 ※八朔:八朔(はっさく)とは八月朔日の略で、旧暦の8月1日のことである。新暦では8月25日ごろから9月23日ごろまでを移動する。今年の暦では9月1日、ちょうど1月のズレです。(秋分が旧暦8月中なので、早ければその29日前、遅ければ秋分当日となる)。
 この頃、早稲の穂が実るので、農民の間で初穂を恩人などに贈る風習が古くからあった。このことから、田の実の節句ともいう。この「たのみ」を「頼み」にかけ、武家や公家の間でも、日頃お世話になっている(頼み合っている)人に、その恩を感謝する意味で贈り物をするようになった。
 ハッサクの名の由来は、八朔(陰暦の8月1日)の頃から食べられたからと伝えられているものの、実際にはこの時期にはまだ果実は小さく、食用には適さない。現在では12月~2月ごろに収穫され、1、2か月ほど冷暗所で熟成させ酸味を落ち着かせたのち、出荷される。(以上の注は、ウィキペディアより)

 ちなみに今年の八朔(旧暦8月1日)は、新暦の9月1日になります。新旧の暦がちょうど1カ月のズレとなっている珍しい年です。ということは今年の「中秋の名月(十五夜)」は9月15日になります。秋は旧暦では7~9月、中秋とは旧暦の8月のことです。



〇特別展 中井大和守の建築指図 -世界遺産をつくった大工棟梁- 開催中です
 平成28年7月23日(土)~8月28日(日) (※会期中は休まず開館いたします。)


 重要文化財「大工頭中井家建築指図」は江戸時代の大工頭・中井大和守と配下の棟梁衆が作図した建築設計図です。中井大和守がつくった建物は、大阪城、江戸城、二条城、名古屋城、京都御所、清水寺、知恩院、北野天満宮、方広寺など日本を代表する建物で、現存する作品の多くは国宝や世界遺産になっています。建築指図の多くは300年以上の年月を経て、破損が進んでいました。そこで平成25年度から3ヵ年にわたって、国庫補助と住友財団の助成による保存修理を行いました。
 この展覧会では、修理された建築指図を中心に「大工頭中井家建築指図」を一堂に公開し、日本建築の意匠と技術の真髄に迫ります。


 詳しくはこちらをどうぞ。≫http://konjyakukan.com/kikakutenji.html


特別展 中井大和守の建築指図 -世界遺産をつくった大工棟梁-


 関連イベントとして、谷直樹館長による講演会「建築指図を深読みする-修復を終えた江戸時代の建築絵図から見えてきたもの」を、8月21日(日)10:30から開催します。詳しくは、こちらをどうぞ。
http://konjyakukan.com/kikakutenji.html#kikakutenji20160821

 また、講演会のほかに、谷直樹館長によるギャラリートークを開催します。
開催日時:8月7日(日)、8月14日(日)、8月28日(日)、それぞれ14:00から30分程度の予定。





方広寺大仏殿 重要文化財 中井正知氏・中井正純氏蔵
清水寺絵図(部分) 重要文化財 中井正知氏・中井正純氏蔵


〇今昔館のあまり知られていない展示(その8)

 引き続き、8階近代のフロア「モダン大阪 パノラマ遊覧」の近代都市住宅年表のコーナーをご紹介します。15年前の開館当時からずっと展示されている年表ですが、手前に並んでいる冷蔵庫やアイロン、ガスコンロなどのくらしの道具の変遷の方に気をとられて、バックの壁面が年表になっていることに気が付かない方が多いようです。
8階近代のフロアの「近代都市住宅年表」のコーナー
 明治以降から現代までの大阪の住まいと暮らしの歴史を、「都市住宅の変容」を軸に、市街地や郊外居住の変化などの流れも含めて年表にまとめたものです。
 この年表の下の段には各時代の代表的な住宅の立面図が同じスケールで描かれています。
 今回は、空堀の表長屋についてご紹介します。


 大阪市中央区空堀地区は、戦災を免れた地域で古くからの町家や長屋が多く残っています。空堀という地名は、空の堀=水の溜まっていない堀からきているといわれ、豊臣大坂城の南総構堀があったところと言われています。上町台地の上に位置しており、大坂城の一番の弱点と言われる南面に防御のための堀が掘られましたが、水を溜めることはできませんでした。水のない堀=空堀です。
 また、江戸時代にはこのあたりは瓦を造る土を採っていたところで、掘り下げられた跡地に長屋が建てられていますので、思いがけない高低差にびっくりさせられる地域です。大河ドラマ「真田丸」が放送中ということもあって、現在注目されているエリアのひとつです。

昭和23年 米軍の撮影による航空写真の空堀地域
(国土地理院HPより)

 上の写真で、松屋町筋と上町筋の間の黒っぽい屋根がびっしりと写っているところが戦災を免れたエリアです。長堀通の北にある榎大明神のえんじゅの大樹が、炎を食い止めたことによって、奇跡的に延焼を免れたとも言われています。

 大阪くらしの今昔館8階には、「空堀通 -商店街・路地・長屋-」の模型が展示されています。模型制作に使われた立面図が空堀の表長屋として、パネルに展示されています。長堀通りに面して角地に建っている表長屋です。

「空堀通 -商店街・路地・長屋-」の模型
南から見る。中央がパネルの表長屋。
南西から見る。パネルの表長屋は角地に建ち隅切りがある。
空堀通から見たパネルに描かれている表長屋
空堀通に面して町家や表長屋が並ぶ
看板は変わりましたが、現在も残るぜにやふとん店。
坂道の突当りは寄席の澤井亭
表通から見ると2階建ですが
 都心部にありながら奇跡的に戦災を免れ、今なお戦前の佇まいを残すまち空堀。長屋や町家、坂道や石畳の路地など、表情は豊かで人と人とのつながりが残っています。地元の空堀まちなみ井戸端会の皆さんは、平成16年度からHOPEゾーン事業を活用し、「お地蔵さんが見守るつながりを生かすまちなみ」をテーマに、地域資源の掘り起こしや情報発信、建物の修復整備など、空堀の特性を活かしたまちなみづくりに取り組んでこられました。
 今回は、都市住宅年表に描かれている、空堀の表長屋をご紹介しました。


〇今週のイベント・ワークショップ

◆7月20日から9月4日までの間は、休まず開館いたします。



8月1日~6日、8日~13日、15日~20日、22日~27日、29日~9月3日
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日(※日曜日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

8月7日(日)、14日、21日、28日
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00


8月3日(水)
イベント 岩ちゃんの紙芝居

プロの紙芝居師による紙芝居を見てみませんか?
①13時30分~ ②14時30分~


8月6日(土)、7日(日)
イベント 大阪欄間を彫ろう

伝統的な手づくりの味「大坂欄間」。大阪欄間の説明、伝統工芸士によるミニ欄間作りの指導を行います。
時 間 A12時30分~14時 B15時~16時30分
対 象 18歳以上、各回15名
材料費 ①800円②1500円③2000円の3コースから選択(②・③は難易度高、数量限定。別途入館料必要。)
申 込 往復はがきに(FAXも可)、住所・氏名・年齢・電話番号・希望日時・希望コースをご記入の上、
〒566-0052 大阪府摂津市鳥飼本町1-4-26 サンハイツ西本101号 大阪欄間工芸協同組合宛 (FAXの場合、072-646-8471)
問合せ 072-646-8470(大阪欄間工芸協同組合)


8月7日(日)
イベント 町家寄席-落語

江戸時代にタイムスリップ!大坂の町で、落語をきいてみませんか
出演:桂出丸「景清」 笑福亭智丸「時うどん」
14時~15時


8月7日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
時 間:13:00-16:00


8月11日(木・祝)
ワークショップ 『うちわを作ろう』

①13時30分 ②14時30分
当日先着10名、参加費300円
*当日10時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆


8月13日(土)、14日(日)
イベント 今昔館で夏祭り ― 楽市町家 ―

町家の店先に町家衆手作りのかわいい商品が並びます
13時~16時
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆


8月14日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)

古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
時 間:14:00-16:00



そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。

大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
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