2016年8月11日木曜日

今週の今昔館(14) 20160704

〇資料紹介「浪花行事十二月 雷師月 夏まつり」

 大阪くらしの今昔館の所蔵資料「浪花行事十二月」(二代貞信 作、昭和14(1939)年)には、江戸時代の浪花の年中行事風俗が旧暦の月ごとに描かれています。今回はその中から、旧暦6月(新暦では7月ごろ)の行事「雷師月 夏まつり」をご紹介します。(大阪くらしの今昔館ホームページからの引用です。)

 後方の橋の上には大きな「布団太鼓」とその担ぎ手たちが描かれ、手前には太鼓の叩き手である子どもが、長い四角の頭巾(投げ頭巾)をかぶり、撥を手に持ち勇ましい様子で立っています。
布団太鼓は、河内・泉州地方や播磨・淡路の周辺などで祭りの際に担がれる、飾り山車の一種です。出山車の屋根にあたる部分に、正方形の巨大な布団を逆ピラミッド型に積んだ形状が特徴です。寛政年間に刊行された『摂津名所図会』には、難波神社の布団太鼓が商家の軒先に担ぎこまれ、それを見物する町人たちの様子が描かれています。



〇企画展示のご案内 2016年度 建築設計展 開催中です
 前期:「設計競技入選作品展『もう一つのまち・もう一つの建築』」
    平成28年7月2日(土)~4日(月)
 後期:「全国大学・高専卒業設計展示会」
    平成28年7月7日(木)~10日(日)
 詳しくはこちらをどうぞ。≫http://konjyakukan.com/kikakutenji.html



〇特別展のご案内 中井大和守の建築指図 ―世界遺産をつくった大工棟梁―
 平成28年7月23日(土)~8月28日(日)
  (会期中は休まず開館いたします。)
 この展覧会では、修理された建築指図を中心に「大工頭中井家建築指図」を一堂に公開し、日本建築の意匠と技術の真髄に迫ります。
 詳しくはこちらをどうぞ。≫http://konjyakukan.com/korekara.html

方広寺大仏殿 重要文化財 中井正知氏・中井正純氏蔵
清水寺絵図(部分) 重要文化財 中井正知氏・中井正純氏蔵


〇今昔館のあまり知られていない展示(その5)

 前回に続いて、8階近代のフロア「モダン大阪 パノラマ遊覧」の近代都市住宅年表のコーナーをご紹介します。
 15年前の開館当時からずっと展示されている年表ですが、手前に並んでいる冷蔵庫やアイロン、ガスコンロなどのくらしの道具の変遷の方に気をとられて、バックの壁面が年表になっていることに気が付かない方が多いようです。

8階近代のフロアの「近代都市住宅年表」のコーナー
 明治以降から現代までの大阪の住まいと暮らしの歴史を、「都市住宅の変容」を軸に、市街地や郊外居住の変化などの流れも含めて年表にまとめたものです。
 この年表の下の段には各時代の代表的な住宅の立面図が同じスケールで描かれています。
 今回は、古市中団地についてご紹介します。


古市中団地(背景に給水塔と西長堀アパート)
 戦災復興とこれに続く高度経済成長に伴う都市への人口集中に対応するため、数多くの公共住宅団地が建設されました。
 なかでも、昭和28年(1953)度から城東区古市の一角にある軍用地跡で建設が始まった市営古市中団地は、戦後の計画的団地開発のモデルとして全国的に大きな反響を呼びました。住戸・住棟計画・配置計画のみならず外構や色彩にも新しい試みが行われ、さらに学校や道路・公園なども含めた街全体を計画の対象とした計画の総合性が注目されました。
 年表の向かいには、「住まいの大阪六景」のひとつとして、古市中団地-計画的団地の開発-が展示されています。


古市中団地(住まいの大阪六景)
 設計者の久米権九郎氏がドイツ留学のおり、各地で街の美しさに大いに感銘を受け、古市中団地の設計にあたって変化に富んだ美しい街をつくることに主眼をおいたといわれます。土地区画整理事業に基づく格子道路や都市計画公園に大胆な変更を加え、通過交通の無い有機的な曲線を用いた道路パターンと街区構成が採用されました。住棟の階数は2階から5階まで変化を持たせ、アクセスも北入りと南入りを組み合わせています。給水塔も団地のシンボルとして造形上の配慮を行い、ジャングルジムなどの子どもの遊具にも意匠を凝らしています。立面図のパネルには給水塔も描かれています。水洗トイレやバルコニーなど近代的設備を備えた各住戸では新しいライフスタイルの暮らしが始まり、周囲からはあこがれの住宅として見られたといわれています。

 下の写真は、昭和23年に米軍によって撮影された航空写真です。中央の城北川の東にあるドーム状の建物は1937年(昭和12年)3月に完成した大阪大国技館(大阪関目国技館)で、当時の両国国技館よりも大きい施設でした。しかし、オープン間もない1941年(昭和16年)には戦局の悪化から相撲興行が中断。結果的に4年で7回の準本場所を開催しただけで、戦時中は建物は倉庫に転用されました。戦後米軍に接収された後、その跡地は日本住宅公団(現UR都市機構)の住宅になっています。その東側の一帯が古市中団地の敷地で、軍用地の跡となっています。格子状の道路となっていたことがわかります。

米軍撮影の航空写真(昭和23年・国土地理院)
明治41年・昭和22年・平成7年の地形図、最近の航空写真の古市付近(今昔マップ3)

 立面図のパネルの古市中団地の背景には、給水塔のほかに日本住宅公団の西長堀アパートが、年表に食い込むように描かれています。
 西長堀アパートは、初期の公団住宅で特に注目されるもので、東京の晴海アパートと対をなす都心部高層住宅の試みの一つです。昭和33年に完成した地上11階地下1階、単身者向け住宅50戸を含む263戸の店舗併存住宅で、約300坪の貸店舗と約150坪の貸倉庫が1階および地階に配置されていました。その巨大な姿から「マンモスアパート」の愛称で呼ばれていました。入居者には郊外団地とは異なる都市型の生活様式の持ち主が多かったと考えられ、作家の司馬遼太郎さんやデザイナーの鴨居羊子さん、森光子さんや野村克也さんなどの著名人も暮らしておられました。今年2016年2月に、建物のリフレッシュ工事とともに新しい企画の住戸プランも登場し、58年目の再デビューをしています。


ドムール北畠と都住創内平野町、
背景に、長柄東住宅3号館、ベル・パークシティG棟

 前回ご紹介しましたドムール北畠と都住創内平野町の背景にも、市営長柄東住宅3号館と、ベル・パークシティG棟が描かれています。超高層住宅のベル・パークシティG棟は、年表の背景に天井すれすれまで描かれていますが、それでも、27階までで、36階のすべては描き切れていません。同一スケールの立面図を見ると、建物のスケール感の違いがよくわかります。
 ベル・パークシティG棟は、10ヘクタールを超える工場跡地に都市型住宅が面的に整備された一団地の中に、昭和59年度に完成した36階建ての超高層住宅で、大川沿いのランドマークとなっています。住戸のバリエーションも多様で、入居者のニーズに合わせ、1~4LDKまで16種類もあります。また、防災、防犯、管理面においても、関係者のこれまでのノウハウの蓄積を生かし、総合的なシステムが導入されています。超高層マンションの一里塚として、昭和62年度第1回大阪市ハウジングデザイン賞を受賞しています。
 なお、ベル・パークシティ全体約3500戸は、全般にわたって大変優れた水準を達成しており、平成6年度第8回大阪市ハウジングデザイン賞において大賞を受賞しています。
 現在大阪市では第30回ハウジングデザイン賞の推薦を募集しています。7月15日(金)まで、どなたでも応募できます。詳しくはこちらをご覧ください。こちらのホームページからも応募できます。



 今回は、都市住宅年表に描かれている、古市中団地および、背景に描かれている西長堀アパートやベルパークシティG棟などをご紹介しました。解説は、「まちに住まう-大阪都市住宅史」を参考にしました。

〇今週のイベント・ワークショップ

7月4日、6~9日、11日、13日~16日
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:11:30、14:30

7月9日(土)
町家衆イベント 「ミニすだれを作ろう」

①13時30分 ②14時30分
当日先着各回10名、参加費200円
*当日10時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆


7月10日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00


町家寄席-落語
江戸時代にタイムスリップ!大坂の町で、落語をきいてみませんか
出演・演目:桂出丸「蛇含草」、桂華紋「仔猫」
14時~15時

町家衆イベント おじゃみ(有料)
古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。作り方をていねいにお教えします。
時 間:14:00~16:00


7月17日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
時 間:13:00~16:00


町家衆イベント 今昔語り
大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
時 間:14:30~15:00


イベント 町家でお茶会(有料)
町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか
先着順50名、茶菓代300円
※当日10時30分より8階ミュージアムショップでお茶券を販売します
協力:大阪市役所茶道部



そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。

大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
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初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse

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