2024年11月24日日曜日

浪花風景十二月 二代貞信(1848~1940)筆

浪花風景十二月 二代貞信(1848~1940)筆 昭和14(1939)年 
絹本着色 一帖 大阪くらしの今昔館蔵



 大坂の風景を12ヶ月の月別に描いた二代長谷川貞信(はせがわさだのぶ)による画帖「浪花風景十二月」をご紹介します。

 12ヶ月の月ごとの行事や風俗を主題として描く「月次絵」は、古くから屏風や襖絵、巻子などいろいろな形式で描かれてきました。
 今回紹介する画帖「浪花風景十二月」も、画帳の形式で1枚に1月づつ、江戸時代の大坂を象徴する景色や名所を季節感を織り交ぜながら描いています。
 二代長谷川貞信(にだいはせがわさだのぶ)の肉筆で、二代貞信は江戸時代から昭和初期の変化に富んだ時代の様子を書き残した浮世絵師として知られています。

 今昔館には同じく二代貞信が描き、本画帖と同じ寸法かつ類似の表装で仕立てられた「浪花行事十二月」も所蔵されており、2つの画帖は「対」もしくは「シリーズ」として製作されたことがうかがえます。

 本作品が描かれたのは貞信の最晩年の昭和14年(1939)ですが、描かれている様子は江戸時代の風景のため、本作は実像を見ながら描いているのではなく回顧して描いている点に留意する必要があります。しかし江戸時代の後期の大坂に生まれ、古くからの行事や風景に親しんで育った二代貞信の描写は、大阪のかつての風景を探る上で一定の信頼性があると考えられます。

 目次は次のとおりです。表題をクリックすると、各月の絵とその解説をご覧いただくことができます。

(一月)正月 道頓堀初芝居
(二月)如月 早春の梅屋敷
(三月)雛月 住吉汐干狩
(四月)卯花月 野田春日社紫香
(五月)皐月 五月雨の茶臼山
(六月)水無月 名物天神まつり
(七月)文月 新清水寺之小瀑
(八月)葉月 四ツ橋之夕涼
(九月)長月 錦城之初秋
(十月)小春月 紅葉寺毘沙門池の楓影
(十一月)霜月 高津社頭之訪冬
(十二月)臘月 雪中の松の鼻

※ 当該記事の前に他の記事がある場合があります。



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