2016年12月19日月曜日

今週の今昔館(38) 20161219

〇今昔館のあまり知られていない展示(その27)
 近世のフロアのあまり知られていない展示の17回目は、こちらの写真です。


 木戸門を入ってすぐ左側の立具屋(建具屋)です。江戸時代の大坂の町には長屋つまり借家が多かった点に特色があります。長屋と言っても裏の路地に面した裏長屋ばかりでなく、表通りに面した表長屋も多くありました。そして、この借家に関して「裸貸し(はだかがし)」と呼ばれる独自のシステムが成立していました。京と大坂の借家を比較すると、京では建具は家に備えられており、また、天窓の張り替えや井戸の釣瓶・縄なども家主が負担するが、大坂では室内の建具をはじめとする内造作(うちぞうさく)は借り主が用意していました。

 大坂で裸貸しが成立した理由の一つとして、建築の設計方法が関係しています。部屋の大きさを決めるのに柱の真々の距離、すなわち柱間の間隔を用いる「柱割(はしらわり)」と呼ばれる方法に対して、大坂では、畳を基準に部屋の大きさを決定する「畳割(たたみわり)」という方法が普及していました。柱割では畳の寸法が部屋によって異なり交換できませんが、畳割では畳の寸法が一定することから交換が可能で、さらに、柱間の内法寸法も規格化されて、障子や襖など建具の規格も進んでいました。こうした設計方法を背景に、畳や建具の大量生産が可能となって、商品化されてきたのです。江戸時代後期に出された「浪華買物独案内」には、戸障子や襖などの建具を扱う店が多く名前を連ねていて、かなり流通していたことがわかります。



 畑屋次兵衛はそうした建具屋の一人で、阿波座戸屋町三丁目南側に店を構え、戸障子、屏風、襖、よし障子、衝立(ついたて)、衣桁(いこう)、額、欄間、引手、釘隠金物、床廻りなど多彩なものを扱っていました。今昔館の町並みで再現した建具屋はこの店を参考にしています。店の間には、引手金具や屏風などが並ぶほか、土間には「へっつい」(竃)や「走り」(流し)も置かれています。





〇今週のイベント・ワークショップ

12月21日、22日、24日、26日、28日
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

12月23日、25日
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00


12月23日(金・祝)
イベント ヘルマンハープ コンサート

バリアフリー楽器ヘルマンハープと共に・・・
演奏と歌と、ワークショップで演奏体験を!
14時~15時
出演:シュトラーセ

12月24日(土)
町家衆イベント ワークショップ『正月祝箸袋』

①13時30分~ ②14時30分~
当日先着各回10名、1人200円
*当日10時より受付で参加整理券を販売します

12月25日(日)
イベント 町家のもちつき

当日先着各回20名:※中学生以下対象、参加費無料
※8階受付にて10時~整理券を配布します
①13時45分~ ②14時30分~


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。

大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
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