2016年11月7日月曜日

今週の今昔館(32) 20161107

〇今昔館のあまり知られていない展示(その22)
 近世のフロアのあまり知られていない展示の12回目は、こちらの写真です。
 目を引くのは火の見櫓で、今昔館の写真撮影スポットの一つとして人気がありますが、火の見櫓だけでは正解になりません。火の見櫓が載っている建物は何でしょうか?

 答えは「町会所」、会所屋敷とも呼ばれていました。むしこ窓や出格子などの外観は一般の町家と変わりませんが、屋根の上にそびえる火の見櫓が目印になっていました。町の共有施設としてもっとも重要な役割を果たす施設でした。

 今昔館の町会所は、江戸時代に書かれた「守貞謾稿」に描かれた会所屋敷をもとにして再現されています。屋根の上には半鐘を釣った火の見櫓が載り、大戸の奥には式台が見えています。梯子には「町役人之外登るべからず」と書かれた板が掛けられています。半鐘は火事場の遠近によって、拍つ間隔の急寛を変えて知らせたと記されています。
 元禄8年の統計では大坂三郷551町のうち253町に町会所がありました。特に三郷の中心地である中船場や天満では7割の町に町会所が設けられるほどに普及していました。「浪華百事談」に「町々年寄は其町の会議を行ふか。又は毎月判行と云い、町内に住居せる者の戸籍帳に捺印せしむなどの時に、出頭する所の家を毎町に設く。是を会所とよび、其家には物書を雇ひ置く。其者を会所守り、亦は町代とよびしなり」と町会所の役割を紹介しています。町会所には町政にかかわる水帳絵図・宗旨巻・人別帳・寺々印鑑帳・証文類・御印付訴状・家賃割印帳などの諸帳簿が保管されていました。

 町会所は寄合だけでなく、奉行所からの触書が掲示され、町内で行われる祭礼の場にもなるなど、様々なコミュニティに関わる機能も持っていました。町会所の中には屋上に火の見櫓を設置したものもありました。その起源は、宝暦9年(1759)に大坂三郷の町内で八町ごとに組合を作らせ、長梯子をかけて半鐘を備えさせたものでした。安永8年(1779)には、北組31町、南組25町、天満組16町の各町の会所の屋上に火の見櫓が設けられていました。大坂の町会所は一町内にとどまらず、複数町の共同施設としても利用されていたのです。解説は谷直樹館長の著書「町に住まう知恵」を参考にさせていただきました。

 町会所の玄関には式台を設けて格式的な構成とするのが通例で、座敷には床の間が設けられていました。また、玄関わきには町内用水や地蔵の祠が置かれていました。



〇今週のイベント・ワークショップ

11月7日、9日~12日、14日、16日~19日
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

11月13日、20日
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00


11月12日(土)
イベント 町家寄席-落語

江戸時代にタイムスリップ!大坂の町で、落語をきいてみませんか
出演:桂出丸 桂文五郎
14時~15時

町家衆イベント 町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00

11月13日(日) 町家衆イベント おじゃみ(有料)
古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00~16:00

11月19日(土)、20日(日)
関西文化の日(11/19・20)は今昔館の入館料(常設展)が無料です!

町家衆イベント 楽市町家
13時~16時

ぜんざい
11時~
100円/杯(なくなり次第終了)

11月20日(日) 町家衆イベント 連鶴(有料)
折鶴がいくつもつながった連鶴。
一枚の紙から折るところに特色があります。
作り方を詳しくお教えします。
開催日:奇数月の第3日曜
時 間:14:00~15:30


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。

大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
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